AGV牽引用治具や関連製品に関するお問い合わせはこちら
目次
AGV・AMR導入の障壁
前回、AGVが台車を牽引しながらきちんと走行するためにはアームのピンと固定輪が必要ということが分かりましたが、
実際の現場はそれらが揃っていないことが多く、他にも様々な障壁が存在します。
多くは全自在輪台車
今、日本中の物流で使用されているカゴ台車やドーリー台車の大半は全自在輪台車です。
牽引すると左右に振られ、下の図のようになってしまいます。
大量にある全ての台車を固定輪台車に変えることは難しいため、AGV・AMR導導入の大きな壁となっています。
【思うようにひっぱれない 台車の振れ】
・まっすぐひっぱっていても台車がどちらかに振れる
・カーブを曲がるときカーブの外側に大きく振れる
・床の勾配に沿って流れるように振れる
・床の段差や凹凸に引っ掛かって、傾いて戻れない
【振れの原因】
・カーブの遠心力
・床の悪さ(傾斜・凹凸・ざらざら・つるつる)
・キャスターの品質(経年劣化・整備不良)
・積載荷物の偏荷重
では、どのようにすればAGV・AMRで全自在輪台車を牽引することができるでしょうか。
【考えられる方法】
①振られないぐらい強い力のAGV
大きなモータ出力とその電源が必要。車幅も大きく、重くなる。
②潜り込んで持ち上げるAGV
低く、細いAGVサイズが必要。昇降させるリフターが必要。
全重を支え駆動する動力、電源が必要。
③固定輪を取付けて固定輪化
台車1台1台に取付ける作業が必要。床との摩擦力確保の重りや仕組みが必要。
アームが必要。
方法①・②は、AGVと台車を一体化させて搬送する方法です。AGVに積載したり、単体で走行する制御をそのまま利用できるメリットがあります。
デメリットとして、大きな動力が必要だったり、機械を小型化又は大型化する必要があり、専用機になる必要がある。もちろん、価格もそれに伴います。
方法③は、台車運用の中で補助機能を台車側に付加する方法です。運用の手間はかかりますが、AGVの選択自由度が高い方法です。
現場の台車にアームがない
車輪の障壁の他に、現場の台車にアームがついていないことも、AGV・AMR導入の壁となっています。
全ての台車にアームを付けることはできませんが、導入のためにはアームが欲しいです。
アームは台車をただ一台ずつ運ぶためだけでなく、固定輪とアームのピンを組み合わせると列車のように連結しても搬送することが可能です。
一度にたくさんの台車が搬送でき効率がUPします。
ただし、安定して運ぶためには以下の条件をクリアしていなければならないため注意が必要です。
- アームとピンがそれぞれの台車にあること
- 全ての台車が固定輪台車であること
- AGVのパワーが十分にあること
- カーブの内側に台車が入ってくるので広くコース取りができること
台車が連結されるほどカーブの内側を通ります。これが内輪差です。
柱などにぶつからないようにコースを作る必要があります
次回も、まだまだあるAGV・AMR導入の障壁についてお話します。