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作っても作っても儲からない日々からの転機
最初のキーカート用の連結機器(後のキーコネクト)を開発してから1年ぐらいの間、私たちは相変わらずコンベヤを作ったり、風変わりな垂直搬送機を作ってみたりと、オーダーメイド機器の開発・製造・販売を続けていた。
正直、このころから経営が上手く回っていないことが最大の悩みだった。ありがたいことにお客様からの問い合わせや相談は継続的に頂けていたが、オーダーメイドで装置や機器を作り、苦労の末やっと納品しても、原価や経費がかさみ過ぎて、全く利益が出ない体質になっていた。継続的に量産し販売できる機器の開発が急がれた。
作っても作っても儲からない日々が続いた。辛い時期だった。
転機はそんなときに訪れた。キーカートを使って今度は、物流倉庫の一般的なかご台車が牽きたいという相談をトヨタL&F神奈川の同じ方から頂いた。一緒に現場に伺い、以前製作した初号機の実績を踏まえ自信をもって設計製作に取り掛かった。
「ワンタッチ」と「微小動力切離し」と 「再スタート」と「小型軽量」これが出来れば十分に機能が満たせると思っていた。しかし、意外にも甘かった・・・。
ふたつの壁
一般的に物流倉庫、流通で使用されているかご台車は、一見すると同じもののように見える。しかし、実はメーカーごとに微妙に寸法が違っていたり、製造ロットによって溶接個所が違っていたり、古くなって変形していたりとさまざま。出荷されては戻ってくる台車一つ一つをチェック確認して使っているわけではないので、他所のものが混じっていたり、こわれていたりもした。とても運用の中で台車の仕様を統一することは出来なかった。
運用台車の「仕様差の許容」キーコネクト1つ目の難題だった。
2つ目の難題は更に大きな壁として私たちの前にあらわれた。
物流倉庫内で使用されるかご台車は、全て「全自在輪キャスター」という問題。当たり前と言えば、その通りだが、かご台車はこれまで作業者が引張って運ぶために作られており、狭い場所でどの方向にも動かせることが必要。
4つのキャスター車輪が自由に首を振って方向が変わる自在輪キャスターは、物流倉庫のかご台車として絶対条件と言っても過言ではなかった。
実証実験でキーカートにかご台車を取り付けて運んでみた。かご台車は引っ張られながら左右に大きく揺れた。カーブに至っては、走行不可能な状態に陥るほどかご台車が暴れた。牽引は無理だと思われた。
かご台車に固定輪を付けなければ、キーカートで牽引することは出来ない・・・。
この「仕様差の許容」「全自在輪対応」は、この後キーコネクトの最大の特徴として評価されることとなるが、この時点の私たちには出来るか、出来ないかを分ける大きな壁にしか見えなかった。
「仕様差の許容」とは、爪が台車に馴染むということである。しっかりと掴みながら、しなやかに馴染む爪の設計とは・・・フローティングかな。
「全自在輪対応」とは、どこに向かうか分からない台車に方向性を付けるということ。船で言うと舵のようなものか・・・。
この悩みを抱えながら3か月が過ぎた。設計者の大波が図面を描き上げた。みんなで組立を行い実験を繰り返し、何度も改善を重ねた。
物流倉庫のお客様には数度の手直しを繰り返しながらどうにか納品を終えた。
ここから更なる2年間、現場の要望を繰り返し受け入れながら更なる修正、改善を重ね、キーコネクトは完成といえるレベルまで成長した。(つづく)
キーコネクトについてもっと詳しく https://www.monolix-agv.com/concept/
株式会社モノリクス(所在地:東京都文京区、代表取締役:齋藤紀之)は、現場を楽しく・楽にする物流搬送関連機器を製作する企業として、様々なAGV・AMR(自動搬送車輛)関連機器を開発・販売しております。
AGV牽引用治具 Begin⁺JIGに関するWEBサイト https://www.monolix-agv.com/