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1人が持って運ぶことが出来る重さっていったい何kgなんでしょう。
力の強い・弱い人、子供・大人、男・女で違うのでしょうか?持ち方、運び方、距離で違うのかな
目次
■労働省通達から見る、1人が持って運ぶことが出来る重さとは?
まずは、法律や通達について見てみましょう。
労働省通達より
イ :満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は、55kg以下にすること。また、当該男子労働者が、常時、人力のみにより取り扱う場合の重量は、当該労働者の体重のおおむね40%以下となるように努めること。
ロ:イの重量を超える重量物を取り扱わせる場合には、2人以上に行わせるように努め、この場合、各々の労働者に重量が均一にかかるようにすること
ちなみに
「職場における腰痛予防対策指針」より満18歳以上 の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとすること
よって結果
- 最大瞬間重量は、55kg以下
- 常用作業の最大荷重は、体重の40%
- 女性はその60%
通達や指針からの数字は、ある意味最低限の労働安全を万人に向けて決めたものです。
是非、更なる作業安全に向けて重量の軽減や作業姿勢の改善を進めて頂きたいです。
■荷物を扱う作業環境でどうやって作業重量し効率を良くするか。
では、重たい荷物を扱う作業環境でどうやって作業重量を減らし、作業性を良くするれば良いのでしょうか。
その答えを探す前に、まず考えるべきことがあります。
荷物を持上げる必要って何でしょう?
■何のために持ち上げるのか?理由は“摩擦力”にあり
何のために持ち上げるのでしょうか。元々荷物を移動することが目的であるのに、持上げる事に注目してしまいます。
持ち上げるから腰に負担がかかり、それを抑制するために法律が出来る。基を正せば、持ち上げなければ負荷を気にしないで運ぶことができるはずですね なぜ、持ち上げるのでしょうか?
持ち上げる理由
なぜ持ち上げるのか?それは、荷物と床の摩擦を小さくする為です。
“摩擦力”は、荷物と床の間に働く力で
W:荷物の重さ
μ :摩擦係数(床と荷物の固有の滑りにくさ)
F:摩擦力
F=μ×W
簡単に考えると、
- 軽ければ、動かしやすく
- 滑りやすければ、重くても動く
ということです。持ち上げれば床との摩擦は0なので、動かしやすい。
だから、持ち上げるのです。
持ち上げなければ、床を滑らせながら押して運ぶ事になる。
箱に傷がついて不良品になってしまうか、摩擦で動かないかのどちらかで持ち上げる必要性を感じてしまいます。
■物流業界へ提案。重たい荷物は、上ではなく横に動かす
そこで、摩擦係数を下げる。努力をしてみましょう。対策案としては、
①床を滑りやすくする(作業中滑る:危険)
すごく短い移動間であれば実現性の高い案です。ステンレス板上を滑らせて移動する場合など、実際に使われている現場もあります。
上記発想から生まれた製品【sura-ri〜スラリ〜】:https://raku-logi.com/2018/05/713
②コンベヤを設置する
コンベヤ上を移動することで摩擦係数は格段に減少します。また、荷物やケース底面に与える影響も抑えられる。摩擦係数が小さくなる為、たくさんの荷物を溜めたり、同時に押すなどすることにより、より高い効率が期待できます。
③台車で運ぶ
台車で運ぶことにより固定設備を設置する必要がない為、自由度が高く、設備コストも抑えることが出来ます。
コンベヤ・台車は、ちょっとではありますが、持ち上げて載せる・持って降ろす必要があります。この作業を最小限にすることで作業性は格段に上がります。それについては、今後ほかの記事で紹介いたします。
④その他の持ち上げる理由
- 段差・高さ差がある
- 乗り越える障害物がある
- 積上げる、積み降ろす作業がある
このような作業での大きな改善方法は、バランサーを使うことです。荷物の積み・下ろしなどは、比較的費用を抑えながら、負荷を軽減することが出来ます。
その他にも段差や高さを補助する装置にリフターがあります。リフターの上にコンベヤを設置し高さの違いを補ってあげることで、重たい荷物を持ち上げる動作が、コンベヤ上のスライド動作に変わります。
重たい荷物は、それ自体を替える以外軽くすることは出来ません。
重たい荷物は、上ではなく横に動かす
これが解決のヒントです。
作業時間の短縮・作業の効率化のヒント:https://raku-logi.com/2018/05/648